寒い雨の日曜。
こんな日には、きっと空いているだろうと思った焼き肉屋さん。
行ってみたら満席。

どこかへ動くのも寒いので、予約ボードに名前を記入しコーヒーを飲みながら待つ。
子供が多い。
家族が多い。

老親はいても、もはやどこにも一緒に行くことができない私は、家族連れを見ながら友人と二人肉を食す。
ふと見ると右隣りに六人。
顔の似たおばあさん四人におじいさん二人。
肉を食べる高齢者は元気だと、よく言われるが確かに。
シメにご飯をもらい、それもペロリと清々しい。

母親は魚が苦手で、ウィークデイに来る宅食でも、ほとんど手をつけない。
そういえば、昔から我が家では魚といえば鮭。
そのせいで、私まで青背の魚が苦手になってしまった。
結婚生活をしていた頃、ブリを買いに魚屋さんに行き「二匹ください」と言ったら「二切れですね」と返され、恥ずかしい思いをした。
新婚のころは、そんなふうに魚にも歩み寄った。
食べてみれば、なかなかに美味しいのだ。

その母親もそうだが、私もヘタをすると、肉も魚も食べず、乳製品と大豆製品だけで、かろうじてタンパク質を摂っている。
これはやはりマズいのではないかと、あの手この手で肉を食事に混ぜる。
お味噌汁を豚汁に変えるくらいでも、ちょっと安心する。

焼肉屋さんに子供の声が満ちる。
子供はみんな肉が好きなんだなあ。
休日の焼肉屋さんは、家族だらけ。
孫と娘と、三世代での支払いはおじいちゃん。
おじいちゃんといっても、若い。
それに一番お金を持っていそう。

いろんな家族を横目に、いや、混じって赤身肉とホルモンを少量食べる。
ううむ、これで良し。
どんどん量が食べられなくなるけど、これで良し。
牛さん、ありがとう。
ごちそうさまでした。

帰ってテレビをつけると「ぽつんと一軒家」。
山の中、放牧されている三十頭の牛の姿が。
その牛から集める牛乳の美味しそうなこと。
牛さんて、すごいな。