金曜日だが休日だった。
テレビをつけると「病院ラジオ」。
しまった、また泣かされると思いながらサンドイッチマンならいいや、と見てしまう。
(ほんとに、このサンドイッチマンお二人の温かさはなんなんだろう。芸人ぽいツッコミも忘れず、なのに、心底があったかい)

今日は広島赤十字病院、原爆病院ともいわれる病院。
当然、白血病などガンの患者さんが多い。
二歳で被曝して闘病する男性は、特設のラジオブースに、車椅子から手を振る。
「INORI」のサダコちゃんと同い年なんだなあ。

突然発病した60代女性は、病室で折り鶴を折る。
千羽になった折り鶴は、半透明。
毎日の粉薬の紙で折ったもの。
サダコちゃんと同じだ。
一羽一羽折る姿に、折り鶴は自分のため、自分の祈りのために折るのだなあと、また思った。

被災地などに、千羽鶴が大量に送られてくることが最近問題になった。
善意そのものではあるが、その善意は無下には出来ず、それゆえ処置に困ってしまうということだ。

「INORI」を歌い始めた時、皆さんから千羽鶴を事務所に送っていただいた。
その数は予想をはるかに超え、うちの事務所は一時、鶴事務所になった。
でも、それらは原爆の日に、広島に運びサダコちゃんの原爆の子の像のある場所に捧げることが決まっていた。
数万の鶴は、その後、こうして折ってくださった皆さんの想いを乗せ、しかるべき手順で処理された。
(広島球場の土に還るとも聞いた)

私の手元には二つの千羽鶴がある。
どちらもちっちゃいちっちゃいもので、こんなちっちゃい鶴には、いったいどれほどの労力を要するのか、思うだけで気が遠くなるほど。

これをいただいた時、申し訳ないが、手元に置かせてもらおうと思った。
土に還るには、もう少し待って、私と同じ時でもいいでしょうという気持ちだった。

こうして。縁あって飛んできた二千羽のちっちゃい鶴は、14年間、私の部屋で羽根を休めている。