ベトナム戦争の時。
その現状がテレビで初めて、アメリカのお茶の間に流れた。
そこで、やっと戦争の現実を知った人たちが、戦争反対へと動き、やがてベトナム戦争は終結した。

今。
インターネットが世界に戦争を伝えている。
それを阻もうとする権力者はいるが、インターネットは入り込む。そういうものがインターネットだから。

イスラエルとガザの戦い。
いや、イスラエルのガザ市民殺戮。
その様子がSNSで伝えられる。
容赦がない。
ちっちゃな子供は、戦争の合間でも笑う。
その瞬間だけ生きている楽しさで笑う。
でも、その数時間、数日後、彼らはただの肉片になる。

どこにも行けない、どんどん狭まる天井のない監獄ガザで、人々は追い詰められていった。
そして、今ラファという小さな海辺の街に100万の人がいる。そこしかないからだ。
で、これからイスラエルはそこを陸海空で攻撃するという。
ガザにいる人を全員殺す気だ。
夜、気持ちがどんどん落ち込んでいく。

こんなことが許される世界になっているのか。
こんなことが許される世界は、これからどうなるのか。いや、どうなっているのか。
各国で大きなデモも起きているが、このジェノサイドを止められる国がない。

気持ちがまたどんどんと沈む。
ハマスのテロの後、ガザのお婆さんが泣いて怒っていた。
「こんなことをしてくれて、せっかくここで生きていたのに。これからどうなるの」
このお婆さんも、きっともういない。

これまでそこにいた人、映像の中にいた人は、きっと今ほとんどいない。
お婆さんも子供も、お母さんもお父さんも。

今この時、命が失われている。
その緊張からか、寝ても起きても、どこかがおかしい。
こういう時は、見ないこと、聞かないこと。
自身を守るために。

ミザル、キカザル、イワザル。
この三匹のサルになれたらいいのだ。

でも、できない。
悶々とする。
だって、私、サルじゃないもの。