妖怪と妖精。
一字違いだが、だいぶ違う。

昨日、栃木の壬生町でコンサートがあった。
お堀に鯉や亀が遊ぶ穏やかな城址公園のホール。
そこで、先週に続き半﨑美子さんとのジョイントだ。

一部が半﨑さん、二部が私、そして二人で三曲。
なかなかに面白いステージになった。
私は自分のステージのおしゃべりで「妖怪」のことを取り上げていた。

大先輩の尊敬する女性の方々は、もはや妖怪であると。
それだけ聞いたらヒンシュクものだが、いやいやそうじゃない。
湯川さんや登紀子さんや、はたまた徹子さんという素晴らしい先輩方のただならぬエネルギー、それは歳を重ねるごとに益々パワーアップしている。
その源泉は、世の中をもっと良くしたいという愛だ。
そしてそのお姿も、年齢を超えた自由闊達さで、好きなものを好きなように着て、それらすべてが相まって、もはや後光をまとうような艶やかさ。
この方々は、もはや妖怪であると思った。
そして、いつの日にか、私もその妖怪の端くれになりたいと思った。

妖怪は時空を自由に飛ぶ。
ヘンテコリンで窮屈な鎖から、ひょいひょいと自由ににこやかに飛ぶ。
これだなあ、と思った。
長く生きてこられたからこそ見に添い、身についた知恵は強くしたたかで柔らかい。
そんな愛すべき妖怪になりたい。

舞台で、半﨑さんが「私も妖怪になりたいです」とおっしゃるので、「いやいや、半﨑さんはまだまだお若いから」と返したが。
今思えば、半﨑さんは妖精のようだった。
透明な美しい涙を持つ優しい妖精。

妖精だったことのない私だが、この先は、妖怪目指して精進しよう。
そしてまた妖精とご一緒できる日を待とう。