最近、とみに頭の中をメロディが流れる。
それは一つではなく、いろんなもの。
ついさっき聴いていた音楽もあれば、どこからやってきたのかわからんものも。

頭をメロディが流れ始めたのは、老親の世話、特に父親のことで頭もカラダも、もうひっくり返りそうになっていた頃だった。
その時はウッセーウッセーという歌がぐるぐる回っていた。
来る日も来る日もウッセーワだらけ。

父親が家を離れ、母親の世話だけになったが、メロディが流れることはさらに増えた。
一人でいても、つねにナニカシラが流れている。
それらはたいてい美しいメロディだ。
ウッセーワ系はない。

だからといって、心持ちが安穏としているのではない。
今は今で、波風だらけ。
でも、頭に流れるのは綺麗なメロディ。
科学的にはいろんなことが言えるのだろうが、神さまからんのプレゼントにも思える。
神も仏もないと思ったりするのに、そんなこと思う。

もしかして、死ぬ間際にも、こんなふうに音楽が流れているのではないかと、ふと思う。
生き返った人がいないので確かめるすべはないが、どんな人にも、どこからかやってきたメロディが、まるで花のように、その人を包み送るのではないか。そんな気がする。

いや、そうであってほしいと思う。
特に無念の中、旅立たねばならない魂たちには、寄り添うメロディがあってほしい。
世界でも、日本でも、理不尽な死ばかりを見ているせいだろうか。