NHKの「ドキュメント24時間」。
これ、なるべく見ないようにしている。
だって、たいていどこかで泣いちゃうから。
こんなの、まったく向こうの思う壺じゃんと思うのに、ああと思ったら泣いてる、それが嫌なのだ。

今朝も、再放送をやっていて、東京近郊の24時間営業中華店。
ラーメンとか餃子とかを、早朝から深夜まで人が食べにくる、その光景に、するると見続けてしまった。
ウカツだった。
やっぱり泣いてしまった。

大学院に通いたいという息子さんのために、警備員をしているお母さんが、仕事帰りに持ち帰りのラーメンを買う。
「行きたいって言うんですよね、そのお金になれば」

去年妻を亡くし体を壊したトラック運転手が、職を市場のフォークリフトに変えて働く。
「想像してごらん部屋で一人なんだよ、何にも話すことないんだ、なんで生きてるんだって思うよ」

やっと店を持てた若い美容師さん。
「アシスタントやってた時は、餃子2個とご飯だけって時もあって、今こんなにいろいろテーブルに並んで、もうこれだけで幸せです」

髪を後ろに結んだ中年女性。
「私、トランスジェンダーなんですよ。ずっと言えなくて。でも女性として生きたいって思って」
それから、女性の姿でゴミ置き場まで、それから徐々に距離を伸ばして。
「ただ普通に大人しく女性として生きたいだけなんですよね」

そりゃあ、泣いちゃうよなあ、こんな人たちの話聞いてたら。
ニンゲンて、なんて愛おしく切なく弱く、生きるって、なんて愛おしく切なくスゴいことなんだろうって思っちゃう。

一人一人が、目の前に立ち塞がる壁を、一生懸命に乗り越えようと生きる。
どの壁も、誰かに代わってもらうことはできない。
ただ自分で乗り越えるしかない。
しかも、その壁は乗り越えたからといって、そこで終わりじゃない。
壁はずっと続く。死ぬまで。

そんな果てないことを思い、ああやっぱりみんな同じなんだよなと思う。
みんなただただ生きようとしてる。
生きようとして生きられない戦争中の人たちのことも思うと、また違う涙に胸が塞ぐ。

ああ、やっぱり見なきゃ良かった。