夜。自転車で、自宅近くの小さい四つ角にさしかかる。
向こうからオジサンが、やはり自転車でやってくる。
こちらは左側をはしっているが、あちらは右寄り。
てえことは、ぶつかる可能性。

あわてて、ハンドルを右にすると、向こうもあわてて左寄りに。
てえことは、またしてもぶつかる可能性。
急停車する。
「ごめんなさい」
こういう時、自分に非がなくても礼儀として、そう声をかける。
たいていは向こうも「ごめんなさい」と返してくれる。

ところが、昨夜のオジサンはそうではなかった。
「気をつけろ」とまでがさすがに言わないが、ナニカシラぶつぶつと一言二言。
なにこのオッサン。
非常に気分が悪くなる。

こういうオジサン、いやオッサンが時々いる。
そういうオッサンは、いつもたいていいばっている。
いばっているオッサンに、ロクな人はいない。

ふと、キックバックというスポーツの規則みたいな罪に問われている長崎の議員のオッサンのことを思い出した。
いわゆる逆ギレオッサンで、この人、以前やっと巡ってきた質疑応答の場で、般若心経を唱えた人だ。
自転車のオッサンも、この人もおんなじ匂いがする。
ああ、やだやだ。と、四つ角を回る。

いばる人にロクな人はいない。
これはまったく確かだ。
それはもちろんオッサンだけじゃなくオバサンでも同じ。
いばることに慣れている人は、老人ホームでも困った人になる。
大声で怒鳴る入居者の人は、退所になることだってある。

くわばらくわばら。
私も気をつけよう。
いつなんどき勘違いして、いばるオバサンにならぬよう。自戒自戒。