瀬間千恵さん。
この大先輩のことを、思えば何も知らなかったことに気づいた。
「銀巴里」の、一際ゴージャスな美しいディーバ。
そして、多岐にわたるレパートリー。
歌謡曲も、クルト・ワイルも、クラシックも、何でもありで、それをご自身の知性で束ねているという感じ。

「幸せな愛などない」を、今回リクエストさせていただいた。
その歌詞を作られたのが、瀬間さんのご主人だったとは知らなかった。
政財界のエラい人らしいとは、聞いていたが、お名前も知らなかった。
人づてに、そのお住まいの素晴らしさや、真っ白いボルゾイ犬二頭を飼っていることや、そんなもはや伝説のような話は聞いていたが、結局のところ、何も知ってはいなかった。

白いドレスで歌われる瀬間さんを、舞台袖で拝見しながら涙が止まらなくなった。
そして、いただいていたCDの、後書き最後の部分を思い出していた。
「長いながい日々の忘れられない夢を見させていただきました。心からほんとうにありがとうございました」
このCDのタイトルが「Apre un reve」日本語で「夢のあとに」。

人生は一瞬の夢のようなもの。
そして日々は過ぎ去るもの。
瀬間さんと初めてお会いしてから40年。
私はずっと、その背中を見ている。

一日目の長谷川きよしさん、そして昨日の瀬間千恵さん、この大先輩たちに心から感謝し、そしてもちろん来てくださった多くのお客さまにも。
立ち見をされたお客さまもいらして、もう感謝がはちきれそうです。
私を支えてくれたスタッフ、若きバンドメンバーたち、全ての皆さまに、大きな感謝を。

私はまだ夢の途中を歩いています。
一瞬の夢の途中を、ただ歩いています。
よろしければ、これからもこの夢の旅を、皆さま、ご一緒してください。