いよいよ腹巻きの季節になった。
寝る時はもちろん、外出でも腹巻きは欠かせない。

今年の夏はさすがに出来なかったが、基本、夏でも腹巻きをする。
これは両親の影響だ。
母親はヤクザじゃないが白いサラシの腹巻き。
ぐるぐるとお腹に巻きつける。
父親は白い市販のもの。
それを私の分まで買ってきて渡してくれた。
それ以来なので、もうかれこれ二十年以上の腹巻き生活だ。
なんだかんだいって二人とも長生きしているのは、もしかしてこの腹巻きのおかげかもと思う。

外出の時の腹巻きは、薄いのがいい。
今は遠赤外線腹巻きというのもあって、私の腹巻き好きを知った方から頂いたものも含め、いろんな腹巻きが引き出しに畳まれている。

それを身につけると、それこそ身が引き締まる。
しっかりとする。
下着一枚分は暖かくなる。
腹を冷やしてはいかん、という先人の教え通り。

母親のサラシの腹巻きを洗ってパンパンと叩いて干すと、それが風にたなびく。
そういえば、昔、板に着物だか浴衣だかがピタリと張り付けられていた様子をおぼろげに思い出す。
それは母親だったか祖母だったか。
代々つながる日本の女性たちの生活を知る、私あたりが最後の世代かもしれない。

そんなことを思っていると、テレビでツゲの櫛を作る店の映像。
ツゲの櫛が欲しいなあと、どこかでいつも思っていた。
場所はというと、上野池之端。
あれれ、これってと調べると、ライブハウス「Q u i(キ)」の通りを挟んだ真ん前。

ここではこれまで二回歌わせていただいた。
今年は年末28日、いつも通り鰻懐石付きライブ。今から楽しみだ。
歌い納めと、一年の自分へのご褒美にツゲ櫛をと、密かに思っている。
早すぎるが、心はもう師走に飛んでいる。