夕方、生島さんのラジオ番組収録にうかがう。
生島さんには足を向けて寝られないほど、お世話になっている。
健康グッズなど、さりげなく渡してくださったりする。
このご縁も、東日本大震災からだ。

その後、サントリーホールへ。
ボストンポップスオーケストラの公演。
井上芳雄さんがゲスト出演されるというので、お誘いにワクワクしながらうかがう。
思いがけないことに、福岡のご両親もいらしている。
わああと、再会を喜び合う。
お母さまと私は同い年で、お互いに介護年齢。
会うとそんな話になる。
思えば出会ってから、もう二十年近くも経っているのだ。

ポップスオーケストラで歌う芳雄さんは、伸び伸びと軽くステップなど踏みながら歌う。
その明るい声の響きが、これまた明るいオーケストラの音色に混ざりホールを満たす。
アメリカに一年滞在していた井上一家は、新年をこのオーケストラの演奏会で迎えたという。
家族の歴史を胸に歌う「自慢の息子」という「アラジン」からのナンバーに、こちらまで胸が熱くなる。
良かったね、ほんとに自慢の息子だね。

ボストンポップスオーケストラは、アメリカの希望や光を演奏している。
ミュージカルや映画の、よく知られたメロディに、ああそうだった、ああそうだったと、自分の来し方を重ねる。

ただその明るく美しい音たちに、今はその影のようなものが重なって聴こえてきてしまう。
この団員の人たちにも、色々な国の人がいるだろうし、宗教もあるだろう。
イスラエルにもパレスチナにも友人がいる人もいるだろう。

世界は繋がっている。
だから、音楽は音楽として存在するけど、そこに込められる想いは時によって違う。
オーケストラの明るい音楽に、どこか祈りのようなものを感じてしまう。
きっと、みんな祈っている。
誰もが祈っている。

音楽がずっと希望でありますように。
光でありますように。

来月また会えるね。と言って芳雄さんのお母さまたちと別れる。
またね、またね。
この気持ちも祈りに似ている。