会いに行けない父親が夢に出てきた。
具合が良くならないので、自分で病院に行くとタクシーに乗り込もうとして、こちらがアタフタと慌てる夢だった。
でも父さん、もうそんなに歩けないよねと疑問に思ったところで目が覚めた。

当たり前だが、現実は厳しい。

この二日間、母親の所に行ってからリハーサルに行き、また母親の所に戻って夕食、そこから帰宅。
生活と歌が交錯した。
老いというのは、日々その姿を変えてくる。
ちょっとした変化が、毎日見ているせいで気づくことがある。
ああ、こういうことかとか、ああ、どう言ってあげたらいいだろうとか、いろんな想いが生まれる。
いっときは、これがうまくいかずイライラすることも多かったが、確実に進歩したような気がする。
怒ることがなくなった。

昨日久しぶりにタンゴの「UNO」を歌った。
あがた森魚さんの詞が、これまでよりも身につまされる。
最後にこの曲を歌ったのはコロナ前だった。
あれから四年か。
歌はこうして蘇り、人を励ます。
人の世は変わり、人を変えていくが、歌はいつもそこにある。
音楽をしていて幸せだなあと思うのは、こういう時だ。

そうそう。
朝の連ドラで、恋は優しい野辺の花よ、と主人公が歌うのもうれしい。
毎朝幸せな気持ちになる。