夜中に探し物をした。
ごっちゃになっているテーブル周りを探す。
すると、封筒に入った写真が出て来た。
国会議事堂前で、家族三人、あるいは二人、一人といった写真たち。

ああ、これは。
両親が埼玉から東京に居を移した、その秋くらいのものだ。
25年前か。

当時、参議院に勤めておられた方のお誘いだった。
せっかくこちらに来たのだから親孝行もかねて、というお誘い。
議事堂も食堂もお土産売り場も、一通り案内され、最後に記念写真を撮った。

私の家族には三人の写真がなかった。
誰かがカメラを持つので、たいてい二人。
だから議事堂前で三人並んだ写真が嬉しい。
今は、なお嬉しい。

70歳を越えたばかりの両親は、背筋もピンとして活気に溢れている。
どちらもまだ背が高い。
母親、私、父親となかなかにバランスが取れている。


昨年の夏、父親のホーム玄関で、ホーム長さんが撮ってくれた写真がスマホに残っている。
立ったままのそれぞれの笑顔。
おそらくこれが最後の家族写真になるだろう。
一年は早いが厳しい。

この二枚の家族写真が、宝物のようではあるが、これさえ私がいなくなれば意味もない。
スマホ写真も、議事堂写真も私と一緒にやがて消える。

あとになあんにも残らないように、残さないように。
それでいいのだ、とこれじゃあまるでバカボンのパパのようだ。