「あの素晴らしい愛をもう一度」という歌が好きだ。
北山修さんと加藤和彦さんが作られた名曲。
フォークソングとして認識されるが、これはジャンルを超えた歌だと思う。
そんなことを、コンサートの最後、出演者そしてお客さまと一緒に歌いながら思った。

「あの素晴らしい歌をもう一度」と、名曲と一字違いのタイトルのコンサート。
今年で五回目。
昨日は、全回出演されている森山良子さんをはじめ、こうせつさん、イルカさん、杉田二郎さん、清水ミチコさん、北山修さん、そしてなんと、岡林信康さんが出演された。

どなたの歌もおしゃべりも独特で、歳を重ねた味わいが、同世代のお客さまとの波動を起こす。
基本的にはフォークソング主体だが、今回、シャンソンの私も混ぜていただいた。

「時は過ぎてゆく」も「ヨイトマケの唄」も、確かに「あの素晴らしい歌」の一つだ。
高田蓮さん率いるバンドメンバーも、久しぶりだが素晴らしい。
蓮さんの父上は高田渡さん。
大好きなフォークシンガーだった。

その私小説的世界観を、岡林信康さんのステージで思い出した。
フォークの神様とも呼ばれる岡林さんは、ポツポツと独特の間合いと美しい声で話し歌う。
これがまあ何ともいい。
名人噺家のよう。
北山修さんとの対談も、もはや伝説になりそうな面白さだ。

そんなこんなで、開演が3時だったのに、終演は7時をまわっていた。
他の方のステージを、舞台袖で立ったままモニター画面で聴いていたせいか、終わると足がワラっていた。

あの素晴らしい歌、あの素晴らしい愛、そしてあの素晴らしい時間。
あの素晴らしい人生、といえる道を歩いているのかどうかは、わからない。
でも「素晴らしい」という言葉を、一回でも多く言える人生にしたいと思った。