私が大学生の頃、かなりの男の子たちは髪が長かった。
拓郎さんの歌ではないが、僕の髪が肩まで伸びて、くらいの長さの人ばかりだった。

で、かなりの数で、ベルボトムのジーンズ(ジーパンというべきか)に、ロンドンブーツというよりポックリゲタのようなモノを履いていた。
だから皆んな脚が長かった。
膝から下が特に長かった。

ところが、飲み会などで畳敷きの部屋に入ると困った。
皆んなが一斉に小さくなってしまう。
外見に騙されないようにしよう、とその頃の女子はおそらく誰も思ったはずだ。


なんでこんなことを思いだしたかと言うと。
ラジオ収録で、先輩方とご一緒して、ふと、お隣におられる団塊の世代の男性に。
「Tさんて、若い時髪長かったですか?」と聞いてしまった。
初めてお会いした時から、業界の重鎮感ある佇まいだが、その眼に、うっすら若い日の光がやどっているのを見つけた気になって思わずの質問。

「ええ、このくらいまで」と肩あたりを示す姿に、何だか感動してしまった。
そこに見えない「時」が見えたような感動。
そうかあ、やっぱりそうかあ。
あの時のあの若者かあ。

その後、リハーサルスタジオに行くと、もうあの時のあの若者だらけ。
今の若者もいるし、混沌とする。

音楽という同じ目的の下、あの時の若者と今の若者が一緒に働いている。
で、あの時の女の子の私も。

スタジオの大きな鏡に映る私は、あの頃より髪が短く、痩せている。
うーん、これでいいんだ、きっと。

そう思うことにした。