パワハラ、セクハラは、私たちが若い頃は、まあ、ほんとに野放しの状態だった。
セクハラに関しては、若い女の子なんていうのは、もうそれだけで被害が当たり前のような認識。
言葉で、あるいは実際に、触られたり恥ずかしめられたり。
「そういうの止めてくださいっ」
抗議する女の子に。
「いいじゃん、減るもんじゃなし」

ヒドいありさまではあった。
触られなくなったら、もうオバサンだよなんてのも、よく聞く言葉だった。
こういうことを当たり前のように耐えて、でも、真っ当な人もいるので、こちらは、ある意味、人を鑑定していたのだ。
女の子たちは、ちゃんと見るべきものを見て社会勉強をしていたのだ。
悔しくても、そう思って理不尽に報いようとしていたのだ。

今回、ジャニーズの件で。
それが女の子だけじゃない黒歴史であったことを知った。
そんなもの、踏み絵と同じ、気にしなきゃいいという人も、多くいただろう。
でも、踏まれた足の痛みは、踏まれた方にしかわからない。
その痛みで心を病む人もいる。

「減るもんじゃなし」
この言葉が蘇る。
いや、減るもんなんだな、心がすり減っていくものなのだな。

これは、すべてのハラスメントに共通すること。
すり減る心は、元には戻らないのだ。