テレビをつけたら高校野球だった。
ピッチャーにしとめられた選手が、ヘルメットを脱ぐと、さらさらとした綺麗な髪が現れた。

てえことは。
そうだ、慶応高校だ。
慶応はユニフォームも、ブルーグレーで、ああやっぱり慶応ね、という感じだった。
なんだかスマートである。

対戦相手は沖縄。
眉毛が濃い。
目も大きい。
中途半端な坊主頭の選手もいる。
土や汗や、沖縄の空気まで感じる。

慶応と沖縄。
かなり違う。
でも、どっちもやっぱり青年だった。
懸命に今を生きる青年だった。

ハンカチ王子を思い出していた。
マー君も思い出していた。
二人の紆余曲折を思い出していた。

人生は、長い。
長くて先の見えないゲームのようだ。
こっちが勝ったと思うと、次はあっち。
沈んだと思うと、次は浮かび上がる。

そしてつくづく思う。
人生に勝ち負けなんてないなあと。
そんなものは幻なのだ。

誰もが心の中に王国を持つこと。
だれにも屈せずへつわらず、自分であることの誇りを持つ王国。
それさえしっかりあれば、いい。
そうすれば、どんな状況も乗り越えられる。
副作用なく生きられる、気がする。