人が人として、してはいけないこと。
あるいは、それをしたら、いつか自分で自分の首を絞めることになること。
だって、そんな自分を、自分はどこかで軽蔑しているから。

それが「卑怯」だと思う。
若いタレントさんが命を絶った。
SNSでの誹謗中傷がその原因といわれる。
その書き込みは、ほとんどが匿名。
自分の姿を隠して、相手の心に銃を撃つ。
実名なら批判にもなるが、匿名は中傷だ。

そしてこれは卑怯だ。
卑怯者は、小さい頃よく見た西部劇でも、いつも最低のヤツとして描かれた。
主義主張の違いが問題なのではない、卑怯が問題なのだ。

卑怯は、だんだんにその人自身を蝕む。
初めは警戒していたのに、卑怯は増殖する。
これくらいいいだろうと思ったことが、重なり増え大きくなり、その人を乗っ取る。
自分を隠して、言いたいことを言うこと、誰かを傷つけることが快感になる。

自分のしていることは卑怯ではないだろうか、とどこかで立ちどまり考えてみる。
卑怯者になった自分を、自分は好きだろうかと考えてみる。
これまで自分を育ててくれた人や景色、これからなりたい自分を思い出してみる。
どんな自分だったら自分を誇れるだろう。

自分を嫌いになったら、こんなに辛いことはない。
自分を好きでいられるために、卑怯と手を結ばないことだと思う。

悪魔はいろんな顔を持つ。
卑怯はその手下だ。
からめとられぬよう、生きねばなあ。