昨日は島根、今日は福岡大分と、知人のいる場所に大雨が降り続く。
どうぞご無事でとメールする私ときたら、早くも夏バテしたウナギのよう。
友人知人も私も、もう高齢者なのだった。

先だって、大阪のホテルで枕元のBGMのスイッチをひねった。
こういうものが、この頃は減っている、珍しいなあととりあえずラジオに設定。
夜中目を覚ますと、遠くから低い女性の歌声。
「ラジオ深夜便」から流れる青江三奈さんの声だった。

次から次へと青江さんの曲が流れる。
アンカーの方は、作詞作曲者を告げるだけで無機質に、ただ青江さんの歌が流れる。
「伊勢佐木町ブルース」など、歌謡ブルース系の青江さんの歌は、当時中学生だった私たちのココロを妖しく波立たせた。
あーん、あーんとどれだけ真似したことだろう。
大人の歌、大人の世界を垣間見せてくれるお手本のような歌であり、歌い手だった。

夜中、ホテルで小さく流れる青江さんの歌たちは、どれもがテンポが同じ、ヒット曲も多かったが、これだけ同じだと、ご本人は相当にシンドい思いもされたのではと、そんなことが気になり。
ガバと起き上がり、スマホで検索。
一人の人のかげがえのない人生を、こうしてネット検索することの後ろめたさを感じながら見ていると、なんと青江さんは「銀巴里」にも出ていらしたのだった。
まさに人に歴史あり。

若くして亡くなられた青江さん。
日本のヘレン•メリルともいわれた魅惑的な声と、金髪の緩やかなカーブ、そして美しいドレスライン。
どれもが、少女の憧れだった。
大人になったらと、まだ大人になれない子供は遠くに目線を放った。
そんな時代だったのだなあ。

今は「あとはおぼろ〜 あとはおぼろ〜」と歌う「恍惚のブルース」が、どうもしっくりする。
なんとまあ。