役所広司さんが、カンヌで男優賞を取った。
役所さんて、ほんとにすごい役者さんだなあと思ったのは、もうずいぶん前のこと。
ある男優さんと二人が主役といっていい単発ドラマを見たのだが。
全然違う。
力量が全然違う。
それはもう残酷といっていいほどだった。

相手の男優さんも、演技派といってもいい人なのだ。 
これが役者の力量というものなのだなあと思った。
その役という骨にどれだけの肉をつけられるか。
どれだけその役に、見るものの共感を呼び込めるか。
ペラペラの紙が立ち上がって、それが人になっていく、そんな感じか。 
役者の仕事って、こういうことなんだなとはっきりわかった。

で、だからというわけでもないが。
大河ドラマをちょこっと覗いてみた。
すると。
若い俳優さんが、若い女優さんに母上といっている。
混乱した。

今は特別な老けメイクをしないやり方が主流らしいが、それをカバーできる力量を持つ役者さんは、そうそういない。
声色を変えるだけでは、むずかしい。
役者さんにとっても気の毒なことではある。

前回の鎌倉殿では、梶原善さんに心惹かれた。
架空の人物だが、殺し屋のやるせなさに涙した。
共感するご贔屓の誰かがいれば、ドラマは見続けられる。


役所さんは、その昔、娯楽時代劇に出ていた。
高橋英樹さんと小朝さんと三人の「三匹が斬る!」
今、時代劇専門チャンネルでも流れていて、母親の楽しみにもなっている。
いやいや、今見ても楽しい。
とても楽しい。