思わず居住まいを正す、という感じになった。
仕事帰りで心身がヘロヘロなままつけたテレビ。
そこには1977年のドラマが映っていた。

都電荒川線をジャックした老人たちの話。
それも後半で見始めたのに、もう目が離せない。
今の自分、今の時代、今の老親、すべてが今のことに思えてくる。
出てくる老人たちは、加藤嘉、笠智衆、藤原釜足、殿山泰司。
その老人たちを説得しようとするチンピラ若僧が水谷豊。そして、このドラマの主人公、鶴田浩二。

水谷さん以外、みんなこの世の人ではない。
その人たちが、老人の苦しみ悲しみ悔しさや、戦争の癒えない傷について語るのだ。
この「シルバーシート」という回は神回ともいえる名作だったらしく、数知れず再放送されたものだというが、まさしく。

こんなドラマ、あったんだ。いや、あの頃には、こんな骨の太いドラマがたくさんあった。
「男たちの旅路」
山田太一作品。
そういえば「岸辺のアルバム」も、また再放送されている。

いやあ、まいりました。
先人たちの偉大さに、感服そして尊敬。
よくぞ、こういう作品を残してくれました。
昭和に生まれて良かった。