ここ最近、目がかゆい。
思えば、初夏とか秋とか、そんな時期に、目や鼻の調子がおかしい。
聞くと、イネ科のアレルギーらしい。

イネ科の植物ってなんだ、と周りを見てもわからない。
そんなこといってたら農村地帯はどうする。
清々しい水田に揃う稲を思えば、アレルギーなど恥ずかしい。

今の朝ドラは牧野富太郎さんがモデルで、この天才植物学者の自由奔放で真っ直ぐな植物愛に、圧倒される。
あの時代に、こんな笑顔をする日本男性がいたのかと思うほど、晩年の蝶ネクタイ姿の牧野さんの写真が素敵だ。
無防備で柔らかく真っ直ぐな笑顔に感動する。

雑草という草はない、という牧野さんの言葉に後ろめたさを覚えつつ、そこここに生え始めた雑草を抜く。
父親の残した鉢植えの、植えられた植物の脇に堂々と生える雑草も抜く。
そんな時、自分がこの命たちの選別をするほどエライのかと、いつも思う。
思うが、そのままにしておくと大変だとも思う。

昨日、父親のホームから帰り、タクシーから降りた母親の手を引いて玄関に向かっていると、綺麗なちっちゃい黄色の花が見えた。
ぐにゅぐにゅと地面に這いつくばるように繁殖する雑草の花だった。
それらが一斉に昨日、咲いたのだった。
抜かなくて良かった。
と思うことにした。

あ。かゆいかゆい。
目がかゆい。
イネ科の植物ってどれだ、と、また目をかく。