本当に久しぶりに後楽園近くに出かける。
ここには、文京区の文化施設がたくさんあるが、私にとって後楽園は遊園地の後楽園。

文化施設のほうでリハーサルを終え、後楽園駅ではなく、今度は水道橋駅のほうに歩く。
すると。
ああ、バイキングとか何やらの心ワクワクする遊戯施設のてっぺんが見えて来る。

でも、もうバイキングもジェットコースターも、私は乗れないのだ。
こういう心臓をドキドキさせるものには年齢制限があるのだ。

ああ、ああ。
と胸が苦しくなるような懐かしさ。

ちっちゃい私を連れて、両親は何回もここに来た。
きゃあきゃあいう私の写真を撮り、手を取り。
すっかり様変わりした後楽園の、それでも古い壁など見る。
もしかして、この壁、子供の頃にもあったんじゃないか、65年前の私たちを知ってるんじゃないか。

そんなはずなかった。
もうあの頃は遠いのだ。
髪に流行りのパーマをかけていた母親だって、太いズボンと重いコートの父親だって、もうあんなに年老いた。

ぐぐ、と、また胸が切なくなる。

バイキング、乗りたかったなあ。
もう永久に叶わないことが、今、目の前にあるんだなあ。

水道橋駅は、昔通りにそこにあった。
ここでは時が人を待ってくれていた。