亡くなった叔父は、調香師だった。
最後に贈ってくれた香水は、薔薇から作ったものだったが、結局使わずじまいで、申し訳ないことをした。

香り、匂いはムズカシイ。
それが天然由来であってもムズカシイのだから、人工的化学的なものならなおさらだ。
この頃は、ずううっと香りが続くを「うたい文句」にする柔軟剤も人気だ。

でもこれが苦手な人も多い。
続く香りは、刺激で香りのマイクロカプセルをはじけさせる仕組みらしい。
延々と続く香り、いや匂いは、刺激物となる。
苦手な人は、ただ苦手というのではなく、呼吸困難などのまさにカラダにダメージを受けることになる。

クミコさんのコンサートにも行きたいが、それにはこんな格好でしか行けないというSNSの投稿には、防毒マスクと除染服のような写真が。
香りは、そのかたにとっては猛毒なのだった。

十年ほど前なら気をつければしのげたほどの香りが、今はあまりに増大しているという。
それほど、香りを好む人が増えたのだろう。
とくに柔軟剤使用者の増加。
そしてコロナ禍での殺菌モノを含めた消臭スプレー。

これはどうやら社会問題になりつつある。
私一人の問題だと思っていましたが、同じ悩みの人がこんなにもいるなんてという投稿に、この香害問題は、これから大きく広がっていくのではないかと思う。

香りは人を癒すものでもあるが、誰にでもそうではないことを改めて知った。