阿川さんとドリアンさん。
このお二人の出ている映画「エゴイスト」。
実は、少々気持ちが重かった。
昔からゲイの知り合いは多いが、男同士の「濡れ場」を見るのはどうも気が引ける。

とはいえ、阿川さんもドリアンさんも出演している。
絶対に見ておきたい。
と、雨の降りだしそうな新宿に出かけた。

美しい映画だった。
どのシーンも美しく自然だった。
その自然さが極まったのは阿川さん。
セリフじゃないよねこれ、な感じ。
以前、TBSのタビシューズでのドラマでの女工さん役。
それにいたく感動してから、女優阿川佐和子のファンなのだけど、今回もまた。
いったいこの人は、どういう人なのだ。
このあたりのことは、5月のライブでお聞きしよう。

そしてドリアンさんは、主人公鈴木亮平さんのゲイ仲間。
女装なしのドリアンさんそのまま。
ドリアンさんを含む本当のゲイ仲間たちに囲まれた鈴木さんの演技が精緻だ。

この鈴木亮平という役者さんは、役者バカとか役者魂とかいう言葉が全く似合わない。
すべてが理性的に構築され、なのに人のココロを動かす。
職業が俳優です感が、ここまで極まった人は珍しい。
だから何の役でもできる、すごい人だ。

そして、宮沢氷魚さん。
(鈴木さんも宮沢さんも、そういえば朝ドラで主人公の結婚相手をしていたが、そのどちらもまったくつまらなかった)
まあ、なんと綺麗な青年。
でも、この人がボディメイクのインストラクターてのはちょっと無理感。筋肉ないし真っ白だし。
でも、この年齢でしかできない、世俗を飛び超えた天使の微笑みにうっとりする。


とまあ、ひどく座り心地の悪い椅子で我慢の二時間。
それにしても。
阿川さんも、そして、今の朝ドラの高畑さんも、ほとんど同年齢のお二人が、もう人生の最後を演じている。
誰かの助けなしには生きられない老女。
でも待てよ。
私なんか、まだその上の世代を助けてるんですけど。
こういう人ばっかなんですけど、きっと。

若い監督たちには、そのあたりをこれからもっと研究していただき、新たな作品も期待したい。
なんたって、映画のように、すぐ死んじゃって終わり、ってわけにはいかないのが現実ですから。
現実の海でアップアップと泳ぐ私のような者たちにも、勇気と希望を。
ぜひともよろしくお願いします。