数字とかお金とか。
そのたぐいのことがとても苦手で。
苦手だからといって済むことでもないので、時々はカードの引き落とし明細を見る。
で。見れば見たで、訳のわからんものが出てくる。

なんだこれ。
アマゾンのダウンロード代980円。
Amazonプライム代なら知っていたが、いつの間にこんなものが。

これなんですか、と電話もできない今は、とりあえず自分で調べるしかない。
こういうのがメンドーだから見なかったんだよねと、本末転倒なことを思う。
便利なようで不便な時代だと思うのは、私が古くなっているせいかもしれない。


昨日、父親のホームを訪ね、父親の肩あたりをもみほぐし、その痩せ方に、やっぱりこれが歳を重ねるってことなんだよねと愛おしくなり。
でもまだ黒い毛の残るこざっぱりした髪を撫で、手を温め。
そんなことをしての帰り、玄関口で車いすのおばあさんに出会う。
ホーム入り口の枝垂桜を見せに、職員さんが連れてきたのが、あいにくの寒さ。
桜よりあったかいほうがいい。と、すぐに引き返したらしい。
話し方も体つきもしっかりしているし、身ぎれいだし、白髪のボブカットは豊かだ。
部屋へと戻る後ろ姿に。
「あの方104歳なんですよ」と、ケアマネの職員さんが。
「ひゃあああ」

もう104歳と聞いただけで、ひれ伏す感じ。
思わず、手を合わせてしまった。
ありがたや、ありがたや。

帰り道、また近くのお寺に寄る。
大きなお寺で、ここに来ると本当に心が休まる。
桜が人を包むように咲いている。
ここで家族みんなで眠りたいものだと思ったが、そういうお墓はなさそうだった。

南無妙法蓮華経。
と、本堂から声が響いた。