初めての芦屋。
ルナホールでのコンサート。
一部が松本隆さんが書いてくださった作品たち、二部がシャンソン中心。

自分がなんて幸せな歌い手なんだろうと思う。
巨匠松本隆に、こんなに書いてもらったこともそうだし、それと同時に同じ言葉を大切にするシャンソンも歌ってこられたことも。
なんの羅針盤も持たず、わがままに、好きなように、唄い生きてきたのに、今振り返れば、こんな道ができていた。

ここまで書いていて思い出した。
松本さんと初めて仕事をした2000年の「アウラ」の時、オリジナルとシャンソンと、この二つの道をうろうろした気持ちで歩いていた私に、松本さんが言ったこと。
「一つ一つ歌っていって、で、後を振り返るとそこにクミコの道ができてるんだよ」

え、でもそんなことあるかなあ、できるかなあ、当時の私は半信半疑だった。
松本さんはオリジナル作品に躊躇する私にそうアドバイスしてくれたのだが、それは私の歌全般にいえることでもあった。

一つ一つ目の前のことを一生懸命取り組んで、で、いつかそれが道になる。

昨日舞台で松本さんとのトークがあった。
向き合っても、初めての出会いからもう23年以上が経ったことが信じられないほど。
ちなみに、私のバンドメンバーの坂上さんと森田さんは「はっぴぃえんど」ファン。というか信奉者。
二人ともいつにない緊張感。
この年代の若者たちにも影響を与える松本さんの経てきた道を思う。

コンサートには、完売のあとも問い合わせが続き、会場の拍手はより大きく、温かく、ホールに響いた。
ああ、やっぱり私は幸せ者だった。

舞台に桜があった。
リハーサルの時には、それこそ枝のよう。
それが終演時には、開き、こぼれるように美しい。
松本さんがお心づかいしてくださった桜だ。

やはり、昨日は「良い日」になった。
良い日を支えてくださった、たくさんの皆様に心から感謝いたします。
ありがとうございました。