昨夜、テレビを見ていて二度驚いた。
その一は「相棒」。
右京さんの相棒、亀山さんの奥さん役の鈴木砂羽さんの声。
あきらかに変調をきたしている。
ああ、お気の毒にと、同じように声で苦労した身には、他人事ではない。
声を生業としている人間にとって、声の不調ほどつらいものはない。
歌い手殺すにゃ刃物はいらぬ、声のひとつも出なきゃいい。

砂羽さんは50歳というが、そういえば、その頃には、私も何回も声に悩まされた。
忙しさもあるだろうが、女性特有の年齢的体調不良もあるのではないかと思う。
いわゆる更年期には、あらゆるところから思わぬ攻撃がある。
ホルモンてやつは予想がつかない。

だからといって今がダイジョウブなのかといえば、そんなことはない。
冬の乾燥と寒さなど、声が悲鳴をあげる要素は盛りだくさん。
ああ、気をつけねばと自戒する。


で。もう一つ驚いたのが。
お風呂に入ろうと服を脱ぎ、消そうとしたテレビから速報ニュース。
それが「成田」。
成田空港反対の最後の牙城が強制撤去という。
え、これって今のニュース?
見ると、「全学連」と書かれたヘルメットをかぶった人たちが抵抗している。
ほんとにこれ今のことなの、とまた混乱するが、その人たちがもう青年ではないことに気付く。

ああ、そうか、まだ成田闘争は続いていたんだ。
そうだった、滑走路に残った農地のせいで、この空港は中途半端なものになったんだった。
でも羽田空港に重きが移って、だったら成田闘争ってなんだったんだと、みんな思ったんだった。

寒くなってあわてて風呂に行く。
テレビは消された。
それで終わってしまった。