歳を重ねて、ちょっと良かったなあと思うのは。
モノゴトを俯瞰で見られるようになったことかもしれない。
目の前の事々に、いちいち心を乱すことが少なくなった。

それは、自分の残り時間が見えてきたことで、今さら何をジタバタするのだとでもいった覚悟ができたというか。
好きなように生きなきゃと、なおさら思えるようになってきたというか。

そう言う意味で、今回の「中島みゆき新宿研究会~一陽来復~」は、毎回のゲストをお迎えし、上柳さんと司会もし、もちろん歌い手もするという、以前だったら、考えられないほどとっちらかったことを、まあ、なんだか自分らしくできたことがうれしい。

昨日は、前日に続きドリアン・ロロブリジーダさんと、彩吹真央さん。
まったく趣の違うお二人の歌たち。
でも歌というのはオモシロイ。正直だ。
その人となり、その生き方なりが、きちんと現れる。
それに観客は魅了される。

お二人を舞台袖で拝見しながら、歌って言うもの、音楽っていうものがこの世にあって、本当に良かったなあと思った。
歳を重ねてわかったことの一つが、音楽は本当に人を救うなあということだ。

会場前に流れていたジャズもまたしかり。
どの音も、すすすとココロの芯に沁みてくる。
そうだ、どんな世の中になっても、音楽は不滅なのだ。
言い換えれば、音楽が流れなくなったらもう世界は終わりなのだ。

今は、どんな公演も打ち上げがない。
ご挨拶をして、すぐに帰宅し、顔を洗って母親のもとに。
入浴の手伝いと晩ご飯の用意。
「もう、色んな人が電話かけてきてくれたの」と、母親がうれしそうに言う。
公演中、一人の母親を気遣ってくれた方々の優しさが、胸に沁みる。
人は一人では生きられない。
優しい人たちと、そして音楽があれば、なんとか生きられる。

今回の公演関係者の皆さま、そして寒い中お出かけくださった皆さま、多くの皆さまに、深く感謝いたします。
ありがとうございました。