素晴らしいコンサートだった。

87th バースデーコンサートと名付けられた湯川れい子さんのコンサートは、予想時間を一時間ほど越えて9時半ごろに終わった。
中川翔子さん、稲垣潤一さん、中西圭三さん、エミー・ジャクソンさん、ゴスペラッツ(鈴木雅之さん率いるラッツ&スターとゴスペラーズからの合わせて五人)、そして湯川さんが団長の東京女声合唱団。
演奏は特別メンバーも参加してのフルオーケストラ。

「うまれてきてくれてありがとう」を唄い終え、司会の徳光さんに「いかがでしたか」と聞かれ。
「至福でした」と答えていた。

指揮の山下さんの、歌い手のココロに添ったタイミングが、本番ではピッタリ合う。
私はイヤモニを使わないので、耳を澄ますしかない。
どんな音にも耳を澄ませタイミングを計り、そこでしか生まれないひと時を楽しむ。
これはスリリングだけど、ああ、こういう音が来てるんだと、そのたびごとに感動する。
それが絶妙だった時「至福」になる。

そして、今回だけであろう新曲「まさか愛していたなんて~戦友~」。
人生を共にし、別れ、でも、一緒に時代を闘ってきた元夫君への想いを、湯川さんが言葉にされたもの。
これは難曲だった。
作曲はジャズピアニストの桑原あいさん。
若いあいさんが、音楽の道の大先輩への大きなリスペクトを持って作ってくれた。
そして、これを託された私は、責任を感じた。

湯川れい子という女性の人生、そのドキュメントを自分が担っているような責任。
ここできっちり唄わないと、湯川さんの人生にちっちゃな傷をつけることになってしまう、というような、もはや過剰ともいえる責任感。
これはけっこう重いものだったが、無事唄い終え、なんだか恩返しができたような気持ちになった。

魅力的な言葉の並ぶヒット曲たちを聞きながら、湯川さんと関われたこの数年間のことを思った。
人生を振り返る歌を任され、ご一緒してきた日々。
そのご恩を思った。
おなじ女性として、そして音楽に関わる者として。
学ぶことは大きかった。

総立ちで湯川さんに祝福の拍手を送るお客様たち、そして出演者たち。
この場所にいられたことを、心底感謝した。

まだまだ学ばねば。
学ぶことは、尽きない。
ずっとその背中を見せてください。湯川さん。
お誕生日、おめでとうございます。