うちの事務所は代官山にある。
住所は恵比寿なので、JR恵比寿駅からも歩ける。

昨日は、まず恵比寿で降りて、ドレスのフィッティング。
これまで表参道にあったアトリエが恵比寿に移り、これまでのかたの娘さんが代表になっている。
代替わり。ということなのだなあ。

寂しい感じもするが、仕方のないこと、お母さまはその後お元気ですかと尋ねるのも、なんだかはばかられる。
それが自由業のきびしいところだ。
できなくなったから退く。これは私たちのような仕事とて同じこと。
立つ鳥跡を濁さず。だから、立った鳥は消息を聞いてほしくないだろう。
それが礼儀だろうと思ってしまう。
自分に置き換えて、そう思ってしまう。


でも、技術はちゃんと後輩に受け継がれる。
ドレスをなかなか作れなくなった時代に、まだ作れる人がいる。
いくらでもお金をかけられるわけでもない私にとって、アイデアと工夫でカタチにしてくれる方々に、いつも感心し感謝する。

今回もまた、そんなふうに出来上がった。
日ごと、あちこち衰えいくカラダには、なるべく軽く優しいものがいい。助かる。
トレインという裾を引きずるようなドレスは、ちょっとした時間ならいいが、それ以上だと負担になる。
素材も同じ。軽ければ軽いほどいい。
しっかりとした素材でしか表せない豪華さは、手放す。

手放す、手離す。
これはサミシイことではない。
自由を手に入れることだと思う。
若い頃には平気だった、高い靴も、重い服も、いらない。
カラダが不自由になるぶん、ココロは自由でいたい。

とはいえ、ヒールはまだ8センチくらい。(もちろん仕事でだけ)
履き心地さえ良ければ、背筋がしゅっと伸びて、逆に気持ちがいい。
先輩方の装いに、ああそうかとか、こうすればいいのかとか、いろいろな智恵をいただく。
これも、受け継がれることの一つなのだろう。

あ。
そうそう、昨日は代官山の小さなジーンズ屋さんにも。
ヨーロッパからやってきたというジーンズ。
これがめっぽう高い。
いつもユニクロとか無印でしか買ってこなかった私、これ買いました。
一生履きます。

ああ。もう「一生」が見えた。