帰宅し、テレビをつけてみる。
すべていつも通り。
ややしばらくしてテレビから音声が流れてくる。
これもいつも通り。

またややしばらくして、ふとおかしいなと気づく。
このあたりが鈍い。
鈍さが増している。

画像が出ないぞ。
音はしてるけど何も映らない。
BSもCSもやってみる。
サッカーの音も、ガリレオの福山雅治の声も聞こえる。
なのに、すべてピンク色。
青味がかった美しいピンク色。
これしか出ない。

思えば、このテレビ20年も使ってる。
そうか、もうダメなのか。
ダメでもおかしくないのか。
でも、でも、私はヘビーユーザーではないぞ。
ちょこっと見てるだけだぞ。
最近は親のとこばかりで、ビデオだって見るヒマないぞ。


キカイの類は苦手だ。
どんなものでも、普通に動いていてくれないと途方にくれる。
サッカーだけじゃなくキカイオンチでもあるのだ。
オバサンの一人暮らしは、心細いものであるよ。とわが身を憐れんでみる。

やっと見つけたテレビの説明書も、ラチがあかない。
こうなりゃ、ネット。
テレビ音だけする映らない、と検索し。
電源をとりあえず引っこ抜くという方法を得る。
このあたりパソコンと同じだ。

ホコリにまみれたコンセントを引っこ抜くと、あちこちでポンと音がする。
ぽん、ぽん。
繋がってるやつらがみんなあわてているんだな。
なんでもいつも同じとは限らんのだよ、君たち。

そうして数秒たって元に戻す。
おそるおそる電源を入れると。
映りましたっ、映りましたっ。
ココロで小躍り。

これで、まだしばらくは買わずにすみそう。
でも、意外だったのは、テレビがこれから映らなくても、まあいいやと思えたこと。
録画してたアレコレが見られなくなっても、まあいいやと思えたこと。

どんどん「手離す」ことに慣れてきたようだ。
モノも人も、そして自分自身にも、執着は薄くなっている。
これって良きことか悪しきことか。

わからん。