東京フォーラムA。
この広い会場が満席。
一席も空けず完売。
こんなこと、コロナ禍に入ってから、見たことなかった。

「あの素晴らしい愛をもう一度」とタイトルのついたコンサートは、平日の3時開演なのに、一席の空きもなかった。
そのコンサートに駆け込み飛び入りをさせていただいた。
「イムジン河」を、最後に出演者全員で唄う場面で。
実は、この伝説の歌の新録音に、私も参加させてもらっている。
そのご縁だ。

北山修さんを中心として、こうせつさんや、坂崎さん、森山さん、イルカさんといったフォーク界のレジェンドに、清水ミチ子さんが加わった豪華版。
それに、この「イムジン河」の日本語詞を作られた松山猛さんのお話もあって、70年代の音楽の検証のような奥深さだ。

私は、まさに飛び入りなので、楽屋モニターで、その様子を聞いていたが、客席にいたいなあと思った。
自分の経てきた時間と、世界と、音楽を客席で振り返りたいなあと思った。
そういう方々が、遠路からもお越しになってあっという間の完売だったのだろう。

どこに立つかもわからぬまま舞台に出て、皆さんに混じって唄った。
イムジン河の歌い分けでは、北山さんとご一緒。
光栄だ。

そして、それから最後の「あの素晴らしい愛をもう一度」。
本当だったら、お客さま全員と合唱になる場面。
それでも、客席の熱気が伝わる。
それぞれの来し方が見える。
だてに生きてきたんじゃねえや、な感じがする。
声に出せない熱が、声に出せないぶん伝わる。

また、こんな機会があれば参加したい。などとわきまえないことを思う。
でも、そう思ってしまうほど、一列に並んで互いの笑顔を見ながら唄う幸せは、素晴らしすぎた。


素晴らしい愛、素晴らしい時代、素晴らしい人生。
どんなことも素晴らしいと思える自分であり続けることが、素晴らしいのだろう。
そんなタフな大きさを持てることが素晴らしいのだろう。

素晴らしいは、だから素晴らしい。