敬老の日。
テレビでは、元気に老いを迎える話。
その中でも、歩くこと、歩けることの話は多い。
老いは、脚からくる、ってことだ。

台風からの雨状況で、母親の家に歩いていく。
行きも帰りも歩く。
これは、ずいぶんと久しぶり。
足指骨折からは、まず歩くことが難しくなったし、治りましたといわれても、すぐに元通りにはならない。
ちょっとしたヒネリで、痛みは出るし、若い時ならあっという間の完治も、そうそう簡単ではなさそうだ。

まず、左指に傷用テープを巻く。
それから小指も一緒にテーピングをする。
それから、外出時には、かならず靴下を履く。
靴下が固定の役割りもしてくれる。
(この靴下。老親は室内でも欠かさない。老人には、身を守るツールだ)

こうして、往復で4キロ程度の距離も、難なく歩けた。
リュックを背負って、少し早足でペースを一定にして歩く。
帰りついたら、なんだかちょっと自信が持てた。
まだ、私、大丈夫。

老々介護と言われて、え、それ誰の事と驚いたら、自分のことだった。
そんな状況から、なんだかんだで十年経つ。

今は、老親のこれからと並行して、自分のこれからも考える。
なにをどう整理するか、どう身を処すか。
三人分の未来を考える。
この世から消えていく未来ではあるけど、未来は未来。
忌むことでもない。
いや、祝祭感、幸福感さえある。

みんなであっちへ行く。
いつかみんなあっちへ行く。
おぼえていない、元の場所に戻る。
それだけのことだ。

それまで、歩こう。
機嫌よく、歩こう。
雨でも晴れでも、歩こう。
歩けなくなっても、歩こう。
うん、そうしよう。