いちぶのスキもない群舞など見ていると、大したものだなあと思う。
アイドル集団など、どんどん進化していて、目を見張るほど一糸の乱れもない。

そう言うのを見ていると、だんだん苦しくなる。
スゴイなあ、たいしたものだなあ、と思うも、苦しくなってくる。

以前。
歌のとてもうまい若いグループとご一緒したことがあった。
たまたま同じエレベーターに乗ったのだけど。
彼女たちに流れる緊張が、それこそハンパなく、音楽をしているのに、それは苦しみのように思えた。

私なんかいたら、もう破滅だなあと思った。
一つの音程でも外すことはできない。
タイミングだって、なんだって、どれもこれもカンペキでなければならない。
だって、一人が間違えば、みんなの迷惑。
その一人一人の緊張が空気を凍らせている、まるで苦しみのように思えた。
音楽なのになあ。と思った。
せっかく、音楽なのになあ。と思った。


だからといって、私のように、間違ってばかりが許される訳でもない。
いろんな人に迷惑をかける免罪符にはならない。
そのことは重々反省、承知している。
来し方の、数々の失敗を恥じている。


でも、良かったのは、歳を重ねたこと。
もうそれらをエピソードにできる。
どんなみっともないことも、みんな笑い話にできる。
そして、人生にエピソードは多いほどいい、なんて不届きなことを言ってしまえる。

なんともまあ。です。