「拾われた男」というドラマを見ていた。
BSプレミアムで放送され、昨日最終回。

主演が仲野太賀さん。
この仲野さん、ほんとうに好きだ。
ほんとうにいい役者さんだ。

役者として必要な技術はもちろん備えていて、その上に、一番必要なココロがある。
これこれこうしたらこうというやり方をしない。
全部、自分のココロのフィルターを通す。
素晴らしい役者さんの条件をすべて持っている。


本来、役者さんというのは、こういうものだと思うが。
そうでない人ももちろんいて、そういう人の演技は、だんだんに飽きる。
見ていてツマラナイなあと思ってしまう。


仲野さんが良いなあと思ったのは、「いだてん」だった。
ただただ全力で走って、後ろから撃たれるランナーの役だった。
ある種、ブザマともいえるこのシーンに号泣した。
決して美しいシーンではなかったし、仲野さんも、決して美しい系の人ではない。
でも、やっぱり、それは美しかった。

「拾われた男」の仲野さんは、これまたおかしくて、見事で、いちいち感心して感動する。
やわらかい人だなあと思う。
(「やわらかさ」は、素晴らしい役者さんが、必ず持っている資質のようだ)


これでまだ29歳というのだ。
どうやら子供の頃から役者さんをしているらしい。
なのに、テダレになっていない。

これからどんな役者さんになるのか、楽しみでならない。
そうそう、この「拾われた男」では、妻役が伊藤沙利(さいり)さんだった。
この女優さんを初めて見た時には、驚いた。
ぶっとんだ才能に感嘆した。
どちらかといえば、高性能爆弾のような破壊力だった。

でも、今、伊藤さんは、とても抑えた静かな演技をしている。
それがまたいい。
時々、感情の爆発の瞬間があって、それもまたいい。


日曜の、遅い夜の楽しみが、なくなってしまった。
また、良いドラマに会えますよう。