明治座での「三都物語」、無事終了。
昨年の夏は、コロナとオリンピック目前。
そして今年は、またしても、コロナ。
まさかの展開だが、こうして古典の装束と共に、無事におえることができた。
それにしても。
なんとももったいない。
普通の状態で、この贅沢な舞台を観ていただきたかった。

それでも。
つくづく、舞台は人力なのだなあと思う。
演者も、裏方も、みんな人力。
一人一人のチカラなしには、なにごともできない。

これは大きな歯車のようだ。
どの歯が欠けても、回らない。
いや、そうじゃないな。
ニンゲンが素晴らしいのは、一つの歯が故障しても、それをまた違う歯がなんとかカバーし合うことだな。

私など、どれだけの方々にカバーしていただき、回ることができたか。
それを思うと、エンディングの舞台上で目が潤んだ。


今回はセリでの登場があり、高所恐怖症の気があり、しかも初めてのドレスで、せり上がる時、緊張が背中を走った。
奈落。という言葉が頭を回る。
それだけで怖い。

でも、ショ―マストゴーオン。
ショーは、どんなことがあっても続かねばならない。
始まったら終わりまで、なにがどうしても、続く。
大きな歯車は、一生懸命、回り続ける。

普段、個人的なことばかりしている身としては、あ、間違っちゃった、で済む(いや、済ませてきた)ことが、許されない。
ミュージカルはできないなあ、と改めて思う。
役名があって、セリフがあって、みんなで唄う。
そんな中、一人間違う自分が見える。
事実、これまで関わらせていただいた舞台では、まんべんなく皆様にご迷惑をおかけしてきた。


今回のショーは、それにしても贅沢なものだった。
和洋の楽器、命がけのエアリアルパフォーマンス、日本伝統の舞踊とダンス。そして奈良平安の装束。
そこに、天童さんを先頭に私たち演者。
支えてくださったすべてのスタッフの皆さま。
そして、こういう状況の中、足を運んでくださったお客さま。

本当にありがとうございました。
いつもこれが最後と思って舞台に上がりますが、もしまたご縁がありましたら。
さて、とりあえず、ご無沙汰していた足指の超音波治療から今日をはじめます。


まだ夏は続くのだなあ。