ああ、また見てしまった。
今朝の朝ドラ。
よりにもよって、またしてもニイニイ登場。
しかも、またしてもダマされる場面。
そして、それをあたたかく励ます主人公。

ああ、なんてこった。
と、15分。
そして、気づいた。

このニイニイ。
寅さんなのだな。
家族に迷惑かけて、それでも愛される風来坊の寅さん。
大きなトランクを持って、じゃあなとカッコつける去り方など、まさに寅さん。


でもね、でもね。
寅さんは、滑舌抜群。口跡良し。
どんな声も、あたりを払う気持ちの良さ。

渥美清という役者あってこその寅さんだったのだなあと、あらためて思った。
寅さんが渥美さんでなかったら、この映画は生まれなかったし、続かなかった。

寅さんの映画で一番好きなのは、浅丘ルリ子さんがマドンナの「相合傘」だけど、木の実ナナさんの、浅草SKDを舞台にした作品も良かった。

私の唄っている「人生のメリーゴーランド」。
その歌詞に出てくる「夕焼け見渡せる 楽屋口のドア」など唄うたび、まるで直結したように、この作品のシーンが浮かんでくる。
映画に出てきた楽屋が、そのまま浮かぶ。

うまくいかない人生を背負った踊り子、いや、踊り子たちが自分と重なり。
それは、ルリ子さんの場末の歌い手とも同じで、いつも自分自身とだぶる。
そしてたいてい、泣く。

芸事。
これに関わる人を、アーティストと変換もできるけど、私などは、どうしても目線が下がってしまう。
そんなに胸を張れることをしているのではない、という気持ちがどこかにある。
だから、ルリ子さんのリリーや、ナナさんの踊り子さんや、そして寅さんに、深い感情移入をしてしまうのだろう。


しかし。それにしても。
このニイニイ、なんとかせいや。
あの少年の日のニイニイが、なんでこんな大人になったのか。
謎です。