音楽を生業にしているのに、それらしい努力をしていない。
部屋には、古いMD付きのCDプレイヤーが二つあるだけ。

だいたいがCDをセットして鑑賞した覚えがない。
使うのは、CDに焼いてもらった音源で歌の練習をするくらい。


以前、上の部屋からの漏水で壁紙が汚れ、管理会社の女性に来てもらったが、その人はジロリと私の部屋を眺め、いったいこのオバサンは何してる人なんだろうといぶかしげに私を見た。
そのくらい、なんにもわからない部屋だ。

もともとメンドクサガリでナマケモノではあった。
それが、いろんな事情でどんどんカラダの動きが悪くなって。
もう、CDを探すとか、セットするとか、しまうとか、そんな気力がなくなった。
今だったら、もうそれさえアナログで、ナントカいう器械に、「あれかけて」とか「これききたい」とかいえば、ひょひょんと流れる、なんてこともあるらしい。

でも、そういった一連のことを支えてくれる若い人もいない。
私の部屋だけ、時が止まっている感じがする。

そんな私が指一本でできるのがUSEN放送。
これはリモコン一つで音楽が流れる。
仕事をしていた関係で、このシステムを入れたのも、ずいぶん前のこと。
それが今唯一のわが家の音源だ。

いつも慰められるのがショパンチャンネル。
一日ショパンばかりやっている。
夜、お風呂上りにこれを聞いているうち眠くなる。
その前はずっとバッハチャンネルだったが、今の気持ちの起伏にはショパンが合う。
ああ哀しい、ああ苦しい、ああキレイ、と揺れる感情を抱きながら、寝床に行く。


音はひどい。
ちゃんとしたスピーカーなら、いいのだが、オマケでついてきたものなので、ぺらぺらな音だ。
それでも、もういい。
もういいのだ。

ただ、ショパンとベートーベンとモーツァルトとブラームスとバッハは専門チャンネルがあるのに、ドビュッシーとかマーラーとかがない。
死にそうな気持ちになっている夜、聴きたいのに、ない。

だからさ、そういうためにいろんなアプリがあるんだよと思うのだけど、なんとかする気力がない。
どだい指一本でなんとかしようという根性がいけない。

いかんなあ、しょうがないなあ、とわかっていても、どうしようもない。
もっと歌のこと、頑張る気持ちにならなきゃいかんのだろうに。
唄うのは指一本じゃできないしなあ。
唄いたい歌もないしなあ。
ぐずぐずぐずぐず。


やっぱりナマケモノか。


またもヘタレ日記であります。