大きなペットボトルに水を入れ、それを一種の壁にようにして、ネコなどの侵入やおしっこを防ぐ。
あのキラキラ光る感じが、その侵入者は苦手なのだ。

ということらしく、あちこちでペットボトルが家の周りや庭に置かれている。
私の親の家でもまた。
父親が、そんなふうな壁を作っていた。

それがなんだかイヤだった。
父親がいなくなったので、思い切って片づけた。
けっこうな数になる。
2リットルのペットボトルに入った水は、重い。
処理しなきゃと、はじめは庭に撒いたり、植物にかけたり。
そして、底の泥やらなんやらを洗ったり。

そのうち、道路の排水溝を見つけ、そこに流し込む。
両手で二本ずつ運んで、じゃあじゃあ流す。
これ、ヤバいことじゃないよねと思うものの、やはりなんとなく後ろめたい。
普段やらないことをするのは、たいてい後ろめたい。


そうして、それらをぎゅうぎゅう踏んづけて、大きなポリ袋に入れる。
一袋じゃ収まらない。
こんなに汚れてたら、もう燃えるゴミ扱いだなあと思いながら口を縛る。

ペットボトルが抜けた庭は、もうじゅうぶんネコが通れる。
「ぼくらはみんな生きているう」
という歌が自然に口から出る。

みんなみんな生きているんだ友だちなんだああ。

野良ネコもキジバトもスズメも、カラスだって。
みんなみんな生きているんだ友だちなんだああ。
(友だちかどうかはわからんけど)


朝、窓を開け、手を合わせる。
毎朝していることだけど、今、この瞬間を怯えて生きている人たちがいることを思う。
手を合わせ祈っても、それが何になるんだ。

でも、みんな生きている。
ぼくらはみんな生きている。
ぼくらはみんな生きている。
ぼくらはみんな生きている。