カナモトホールは、札幌市民ホールだ。
ネーミングライツという、名称を変えて運営するカタチをとっているので、時々で、あれそれどこ的な戸惑いをすることがある。

それでも、このホールには、何回かお世話になっている。
言葉を替えれば、唄う機会を、それだけ頂けているということだ。
ありがたいこと。

昨日は、その札幌出身の藤澤ノリマサさんと、初めてのジョイントコンサート。
二人で唄うのだから、ちょっとは楽かなあなど思っていたら、そんなことはない。
逆にノリマサさんの歌に触発され、感動し、自分も頑張ろうという高揚した気持ちになる。
ほんとに、歌って、音楽って、なんといいもんだろうと思う。
辛い思いに、からめとられるような、侵食されるような時ほど、そう思う。
この世に音楽があって、本当に良かった。

ノリマサさんは39歳。
息子といってもいい年齢。
そのノリちゃんの、ほとばしるエネルギーと情熱の歌を聴きながら、もうちょっと私も唄っていたいなあと思った。
歌い手に、盛りとか衰えとかいうものが、あるのかどうか、それはよくわからない。
声が出なくなったり、ふらついたり、歌詞を忘れたり、そういう変化を衰えというのかどうか、わからない。
きっと、歌い手は、歌を唄っているかぎり歌い手なのだろう。

そうだった、私、よぼよぼになって、やっとの思いで舞台中央にたどり着き、ただただ一生懸命唄って、そんでもって、またよぼよぼと舞台袖に下がる。それが夢だったのだ。
やっと生きている、やっと唄っている、そこに何の邪心もなく、ただただそこにいる、そんな歌い手になるのが夢だったのだ。

でも、まだ、それまでには時間がありそうだ。
もうちょっとばたばたとあがきながら生きて唄おうと思った。


素晴らしいバンドメンバーの皆さん(ドラムスの直子さんもまた札幌でした)、スタッフの皆さん、関わってくださった多くの皆さん、そして、雪の中、お越しくださったお客さま、もちろんノリちゃんにも、ココロからお礼を申し上げます。
唄っていて、また、後ろで男の人の声がしました。
そういえば、前もこんなことが。
あ、日高晤郎さんかもしれないと、帰り道で思いました。


ちなみにホールの緞帳が札幌の歴史そのままで。
贈り主が「ホクレン」「雪印」「サッポロビール」。
これらの名前の刺繍に、胸が熱くなりました。

皆さま、本当にありがとうございました。