早起きして。
カーテンを開け、空気の入れ替えをして。
また窓を閉めて、しばらくすると。

窓の外をざざという音。
見ると、茶猫がベランダにやってきた。
この時間には、このベランダに朝陽が当たる。
それを目当てに来たらしい。

驚かせないよう、こちらもじっとして、中から見つめる。
寒い夜をしのいできた茶猫だ。
みんなこうして、どのネコたちも、しのいできた冬だ。
それが春になり、ネコたちも鳥たちも花たちも、生きとし生けるものたちが、やっとほっと息ができる。


いつもは閉まっているカーテンがあいているので、茶猫もやや不安らしいが、それでもしばらく朝陽の中くつろいでいる。
もそもそと気配を消して、ココアを作り、飲む。


ウクライナで、ペットを連れて他国に避難する人たちの写真を見た。
犬も人も目に不安が溢れている。
ネコはどうしているんだろう。

鳥は飛べるけど、ネコはどうするんだろう。
戦場の中、闘う男たちを慰めるのだろうか。
ただただ、逃げ惑い、死んでいくのだろうか。


そんなことを思い、気持ちがふさぐ。
いや、まずは自分自身。
これから病院だ。
アゴの治療に行かねば。

茶猫は、身支度をはじめた人の気配を察したのか、そそそと隣のベランダに移っていった。
グッドラック、お互い今日もがんばろう。
ね。茶猫ちゃん。