今回のオミクロンは、当初の予想に反してなかなか手強い。
これまでのものと違い、あっちでもこっちでも感染の話を聞く。
その症状はさまざまのようで、まったく普通の風邪のような人もいれば、長引く人も。
今回がラストと言われていた「ラ・マンチャの男」も結局のところほとんど休演になってしまった。

昔、母親と観に行き、席がなんと一番前で、舞台下の仕掛けから人が出入りするのは見られたけど、全体像が今一つわからなかった。
見えない「敵」と闘う老いた戦士の舞台を、今でこそ見ておきたかった。
もう一回仕切り直しというのは、そうたやすいことではないだろうけど、白おう(すみません漢字が変換できず)さんのドン・キホーテをもう一度と願う人は多い。


今、舞台をされている人たちは、毎日細心の注意をし、そして祈るような気持ちで一日一日をすごしておられるだろう。
出演者だけでなく、スタッフもみんな、どれほどの苦労があることか。
どの舞台もつつがなく終えられますよう、こちらも祈るしかない。

そうはいっても、どこにも出かけないわけにもいかず、人出はわりと多い。
私も母親の入浴を終え、夜、美容室に出かけた。
髪を切るとさっぱりする。
もっともっと切りたくなる。
今でも相当に短いのに、もっともっと激しく切りたくなる。

Yさんが、そんな私の髪をなんとかエレガントに収めようとカットしながら。
「ゴルゴ13とか007とか、みんなこういう時にこそ活躍してくれないと」と言う。
「でも、さいとうたかをさん亡くなっちゃたし」
「いやいや、さいとうさんなら許してくれますよ。それに007なんてあんなにロシアを敵にして戦ってたんだから、いまこそそのノウハウを示してほしいですよ」
そんな荒唐無稽なことを、ほんとにそうだと思うほど、ロシアのプーチンは手強い、ていうよりもうヒトラー化している。

今朝は、北朝鮮からミサイルが飛んできた。
もう、そこここに戦争の入り口が開いている。
どこにもヒトゴトなんてものはない。

その脅威や恐怖は、オミクロンがかすんでしまうほどだ。
なんてえこった。この世界。

なのに、空は青く鳥の声がする。
なんてえこった、この世界。