NHKの「うたコン」が、NHKホール改装のため東京国際フォーラムに場所を変え。
そこでの、昨日が初めての出演になった。

「うたコン」はその前に「かよコン」と言われていた番組から引き継がれたものだけど、この「かよコン」は正しくは「歌謡コンサート」。
火曜日に放送されることもあって、なるほどなネーミング。


そこに初めて出演させていただいのが、かれこれ20年ほど前。
ちょうどその日が、坂本冬美さんの復活の日だった。
それまで活動休止をされていた冬美さんが再び舞台で唄うというので、なんとなくざわざわとしていたのは覚えているが、ざわざわしているのは自分のほうで、とにかく必死にざわざわどきどきと唄った覚えがある。

ところが何を唄ったのか覚えていない。
覚えているのは、その時ゲストで出演されていた二葉百合子さんの手を包むように退場される八代亜紀さんの手。
その二つの手を見つめながら、私も舞台袖に歩いたことだけ記憶している。


歌の道を歩き続ける歌い手のかたたちの、その端っこの端っこにくわえていただけたのだろうか、と、そんな思い上がりなどなく、でもこうして20年は過ぎていった。
もう「いいとし」ではある。
本来なら大御所的年齢ではある。

それでも、ずっとしょしょこ唄ってきた。
ヤダなあとか、ツマンナイとか、文句ばかりいいながら唄ってきた。

まあ、いいんじゃないかなあと、この頃思えるようになった。
まあ、唄えるうちは唄おうか。
歌たちとずっと付き合って、それこそ何十年も付き合っても、その歌と仲良くなれないこともあるし、わからないこともある。
離縁した歌もあれば、再婚した歌もある。
歌は人のようにオモシロイ。

昨日は「人生のメリーゴーランド」を唄った。
お客さまの入った(制限はあるけど)本番は、やっぱりメチャクチャうれしかった。楽しかった。
ちょっとカラダが地上から離れる気がした。
これだもの、だから歌はやめられないんだなあ。