ビルボードライブ大阪に着くと、藤澤ノリマサさんのリハーサル中。
絶好調な歌声だ。

楽屋に貼ってあるスケジュールを見ると、ノリマサさんとバンドメンバーは9時着の新幹線とある。
てことは、皆さん、早朝も早朝に家を出ているに違いない。
なのに、この声。


ノリマサさんのライブへのゲスト出演は、私には歌い初め。
昼夜二回公演で、ノリちゃんファンが熱い心で集まる。
熱い心は、熱い歌と呼応して、外側にいる私も熱くなる。


私は唄う仕事が、約半月ぶりで、歌い手であることを忘れてしまいそうになっていた。
日常がだんだん重く、それと闘ったり、苦心したり、あれこれあれこれ考えたり。
そんなことばかりで、自分が歌い手なのを忘れそうになっていた。

それが、だんだん解き放たれる。
初めは、湿って重く飛べそうもないような翼が、ゆっくりゆっくり開いていく。
歌の翼が開いていく。

二回目のステージでは、もうすっかり元の自分になっていた。
そうだ、こうして音楽を楽しんでいたんだ、唄っていたんだ。
そのことを思い出させてくれたのが、ノリちゃんやバンドメンバーの音だった。

音楽って、濡れた翼を乾かしてくれる。
開いた翼にたくさんたくさん空気を入れた。

そうして、東京へ戻ると雪。
あちこちで車が事故っている。

でもまだ翼には乾いたあったかい空気が残っている。
さ。がんばろ。今日も。