明日の朝ごはんは食べちゃダメだよ。
と、何回も念押しする。


今日はこれから父親の検査。
何回やればいいんだと思うけど、病気は同時にやってきてくれないので、しかたない。

「ぜんぜん調子わるくないのになあ」
と、父親はいうが、それもその通りかどうかはわからない。

前回の胆管炎の手術で、新たに見つかった膀胱がん。
年齢も年齢なので、このままなんとか手術なしでと医師にいうも、誰も、そうですねとはいわない。
そのまま放っておいてなんとかなるものではないらしい。

そのままだったら、いずれカテーテルをいれねばならなくなるし、その苦痛を思うと、もう覚悟を決めた。

でもなあ、前回の手術と入院と退院とその後と。
可哀想だったなあ、大変だったなあ、と思うも。
大変だったのは、まわりの家族や手伝ってくれた人たちだけで、本人は、なんにも覚えていない。
それが救いなのか、救いじゃないのか、それもよくわからない。


「やらなきゃダメなのかなあ」
と言う父親に。
「最後の闘いだからね、しっかりがんばらないとね」
と、強い声でハッパをかける。

最後の闘い。
きっと、これから何回もそれはやってくる、気がする。

でも、励ます者が気弱になっていてはいかん。
もう、私、アマゾネスの気分。
いや、ドクターXか。
なんでもいいや。

ただしっかりするのだ。
がんばれ子供。