先だって。
あまりにお腹が空いて、ラーメン屋さんに入った。

ラーメン屋さんに入ることは、めったにない。
中華料理屋さんで、麺類をたべることがあっても、ラーメン専門店に行くことがない。

ラーメンは専門家が多い。
その人その人のこだわりがありそうだ。

私が入った店では、一人の男性の先客があった。
この人がいるのだから、きっとそこそこ旨いのだろうと思った。

で、食券を買い、カウンター奥の席に座ると、そのもう一人の男性がじろじろと私を見た。
「なんでここきたの」な感じがした。


「面の茹で方は」と店の人に聞かれる。
慣れてないので、あわてて「普通で」と答える。
これ、まったくシロウトだなと自分でも思う。
九州ラーメンで「普通」なんてどうよ。

目の前の貼り紙には、麺の茹で方一覧がはってある。
「粉おとし」という超絶カタ麺から、「ばりこて」とかそんなよく聞く名前。
なのに「普通」。
なんか恥ずかしい。

ざばんと湯切りをした麺が出てくる。
おおおお。うまそう。
一口、ああ、旨い。
二口、まあ、こんなもんか。
三口四口と。

あれ、ここってあんまり旨くない店?
と気づく。私でも気づく。
ご馳走さんも言わず、黙って帰った先客の男性を思い出した。
そうか、あの人も初めて入ったんだな。


ラーメンはカレーと違って、旨い旨くないがすぐわかる。
まあ、好みにもよるが、どんな種類のラーメンでもそれが旨いものかそうでないものか、わかってしまう。

ナニナニラーメンとラーメン専門であれば、店も客も、ある意味命を賭けてる感がある。
けっこうな値段のラーメン一杯には、作る側と食べる側の思いが溢れているのだ。
ある種闘いでもあるのだ。

そんなこと思いながら、食べ終わった。
私以外お客はいない。

ううむ、きっとこの店は長くはもつまい。


ちなみに、私はサッパリした東京ラーメンが好きだ。
ナルトとかメンマとか海苔とか入ったやつ。
でも、荻窪の有名店の前で、その値段に驚き入るのを止めたことがある。
いくらなんでもこれはないだろう。

もういいよ、チキンラーメンで。
チキンラーメンに卵入れて。
これ、サイコーですわ。