このコロナの時期になにかあってはイヤだな。
病院のお世話になることは、避けたいな。
と思っていた。

でも、そうはいかなかった。
昨日、父親が入院をした。

ここ数日、というか、夏になってからどうも体調がすぐれない。
高熱も出たし、それが熱中症だけが原因ではなかったこともわかった。
食欲が減ってるなあと思っていたのも、たんに歳のせいだけではなかった。


胆管炎。
胆管に石が詰まってしまったらしい。

かかりつけ医に行って、それから、その画像をもらい入院できる病院を紹介される。
血液検査も、肝臓値が悪くなり白血球も増え。

一週間から二週間の入院と聞き驚く。
日帰り手術くらいの気持ちしかなかった。


そして、なにより、ああそうだったとガクゼンとしたのが。
コロナによる面会謝絶。
入院している期間、会うことができない。という。

三年ほど前の、硬膜下血腫手術での入院を思い出した。
アタマに穴を開けて血を抜く、という手術のあと五日程度の入院。
それができなかった。
認知症の父が夜中に大騒ぎをして、二日目に帰宅した。


ダイジョウブなんでしょうか。
と、尋ねるも、そんなことがムダなこともわかる。
ダイジョウブでもそうでなくても、入院せねばならないし、家族と会うこともできないのだ。


もう元の父親に戻ることはないのかもしれないと思うと、胸が痛くなる。

帰って母親に告げる。


「いつも二人でだべってたの。そこで。
パパがときどき「磯節」唄って」
母親がぽつりという。

磯節は、茨城の民謡。
全然上手くない父親のそれは、唄い出すと聞いてるほうが眠くなる。

そんな二人の生活が戻る日がくるのか。


しょうがないんだよ、しょうがないんだ。
私は覚悟を決めた。
でも、母親はそう思っていない。
思っても思っていない。

夫婦という絆は親子より強いんだ。
私はただ粛々と日々のことをせねば。
それが子供のつとめだ。