先月、注文していた新しいマウスピースが出来上がったので取りに行く。

この歯医者さんには、夏からお世話になっている。
噛み合わせ。これがいかに大変で重大な問題か。
何んともない時にはまったく何んともないが(当り前だ)、いったん、崩れ出すとぼろぼろしてくる。

これは初めての経験だった。
年齢的なことも逆風になるのだろう。
え、こんなことが、というちょっとしたことが引き金になって、その後の生活を変えてしまう。
なんてことは、老親をみていてもわかる。

これが「老い」なのだろうなあと思う。



新しいマウスピースは、これまでのものとぜんぜん違っていた。
硬い。
ふにゃふにゃしていない。曲がらない。

そして、調整をする。
型をとって出来上がりました、はいどうぞ。
とはいかないらしい。

これまた入念な調整。
マウスピースは上の歯だが、それを受ける下の歯との調整をする。

「こんなに調整するもんなんですね」と言うと。
「そうなんですよ、人の歯、噛み合わせはどんどん変わります。なのでその都度変えていかなければならないんです」

へええええ。
と、ただ驚く。

合わなくなったマウスピースは、逆に害になるのだった。
そうか、そういうことか。

ネットなどでも簡易的なものが買えるが、それでなんとかなるのは若いうちだけかもしれない。
あちこち、がたがたと「ひずみ」が出てくる年齢ならば、きちんとしたものが必要だ。


寝ている間の歯ぎしりや食いしばり。
起きているときにはわからない。
そのままだと、どんどん歯は削れていくし、アゴもダメージを受ける。

ニンゲンを長くやっていれば、ココロの闇も増えて、無意識の間にもんもんとするものだろう。
ぎりぎりぎしぎし。


ああ、ほんとにまあ、生きてるってなんと大変なことか。


で、値段。
昔は八千円だったことを思うと、信じられないほど安い。
やはり今の時代に需要は増えているのだ。


人生、三つめのマウスピース。
これで、また乗り切ろう、っと。