内幸町。
新橋駅に近く、昔はここにNHKがあったらしい。
今はビジネス街。

ここの内幸町ホールで、唄う。
前日のシャンソンコンクールでの入賞された皆さんと、審査員側の歌い手が一緒。


なかなかに良いコンサートだったけれど、なんせこのご時世。
お出かけくださる皆さまも大変。

真夏の太陽は溢れているけれど、人通りがない。
由緒ある街なのに、賑わいがない。

ちょっとお茶をと、隣のホテルに行くが、コーヒールームは閉鎖。
宿泊のみになっている。


もうなんだか戦時下のようだ。
(生きてたわけじゃないけど)

ぐるっと見渡して開いているのはコンビニ一つ。
そこにマスク姿のビジネスマンが出入りする。

まったくシュールな風景だ。


ふと見ると、記念碑のようなもの。
「樋口一葉生誕の地」とある。

そうか、一葉さんはここで生まれたのかあ。
お札でお馴染みの一葉さんのお顔と一緒に、写真を撮る。

一葉さん、今東京は日本は世界は、こんな大変なことになっています。
でも、一葉さんの時代もめちゃくちゃに大変だったのですよね。


そう思えば、まだまだ耐えられる。
今日明日のご飯をきちんと食べられると思うだけで、耐えられる。

ろくな食事もできず病で死んでいった一葉さんや、その時代の人を思えば、これしきのこと。
気持ちをしっかりしようと決める。


コンサートの最後は「バラはあこがれ」。
合唱することはできなかったけど、胸に手をあてた。
ここにバラがあります。希望があります。
枯らせてなるものか。
見えないバラをお客さまに向けて投げた。