値上げするし、もういいかげん止めようかと思っていた新聞。
でも、これのいいところは、思いがけない出会いがあること。

へえ、こんなことあるんだ、とか。
ああ、こんな国もあるんだ、とか。
あ、こんな本読んでみたいな、とか。

その「あ、この本読んでみたい」で、絵本を買った。

林明子さんの「こんとあき」。
こんは、きつねのぬいぐるみ。
あきちゃんという女の子の友だちだ。

絵がきれい。
そしてエスプリもある。
駅の向こう側のホームにチャップリンがいたりする。

あきちゃんが生まれて大きくなって、でもだんだん古びてきたこん。
それを直してもらいに、二人はおばあちゃんのいる、さきゅうまちへいく。
「さきゅうまち行き」の特急に乗る。
お弁当は、ぬいぐるみのこんが並んで買う。

やっぱり泣いた。
すべてが愛おしくて泣いた。

本の背表紙には、「読んであげるなら 4才から じぶんでよむなら 小学校初級むき」と書いてある。
とんでもない、初老の人向きです。
いや、すべての人向きです。

これが絵本の大きな力だ。


ゆうべ、家にある「百万回生きたねこ」をまた取りだし。
そして、まただらだら泣いた。
この本は、本当にすごい。
傑作だ。
佐野洋子の他の本を読みだしたのも、この絵本がきっかけ。
生と死を、生きる意味を、こんなに鮮やかに描ける人はいない。
おおおおおおんん。と、愛する白猫を失ったねこが大きな口を開けて泣く場面で、いっしょに泣き。
そして、二度と生きかえりませんでしたと言う最後のページでも泣き。
とにかく、読むたび見るたび、泣く。
だらだらと泣く。


絵の描ける人を、心底尊敬している。
生まれかわったら絵描きになりたい。


でも、今は歌うたい。
歌で、生と死を描こう。
生と死と愛。
そう、これですべて。